なぜ日本では成人式があるのか?由来・歴史・20歳で祝う理由までわかりやすく解説

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結論から言うと、日本で成人式があるのは、「子どもから大人へ移る節目を、個人だけでなく地域社会全体で確認し、祝う文化があるからです。古い通過儀礼の流れを受けつつ、現在の形は戦後に整えられました。なぜ自治体が式を開くのか、なぜ今も20歳で行う地域が多いのかまで知ると、成人式は単なるイベントではなく、日本らしい社会の仕組みが見えてきます。

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成人式は「大人になったことを社会が認める場」だから

成人式には、本人の成長を祝うだけでなく、社会の一員として迎え入れる意味があります。家族の中で「もう大人だね」と言われるのとは違い、自治体や地域が公的な場を用意することで、人生の節目がよりはっきりします。

日本は昔から、節目を行事として形にする文化が強いと言われています。たとえば、3歳・5歳・7歳を祝う七五三、学校生活の区切りである入学式や卒業式、社会人になって最初の入社式などもその一例です。成人式も同じ流れの中にあり、「年齢が変わった」だけでなく「立場が変わった」ことを実感する日と考えられています。

実際、毎年1月になると、駅前や市民会館の周辺で振袖やスーツ姿の若者を見かけます。家族がスマートフォンで記念写真を撮り、祖父母が少し離れた場所からうれしそうに見守る光景は珍しくありません。こうした場面からも、成人式が本人だけの行事ではなく、家族や地域にとっても特別な日であることがわかります。

成人式のルーツは古代の成人儀礼にある

日本の成人式の背景には、古くからの通過儀礼があります。代表的なのが、男性の元服(げんぷく)と、女性の裳着(もぎ)です。

元服と裳着は何を意味していたのか

元服は、子どもの髪型や服装を大人のものへ改め、社会的に成人として扱われるきっかけとなる儀式でした。武士や貴族の世界では、名前や役割が変わることもあり、見た目だけでなく立場の変化を伴っていたようです。

一方の裳着は、女性が大人の装いを身につける儀式です。時代によって内容は異なりますが、こちらも「成長したことを周囲が認める」意味合いを持っていました。

つまり昔から日本では、年齢だけで自然に大人になるというより、儀式を通して社会的に大人になる感覚があったと考えられています。現在の成人式で晴れ着を着る文化も、こうした歴史の名残と見ると理解しやすいでしょう。

現在の成人式は戦後に広まり、自治体行事として定着した

今の成人式に近い形が広まったのは、実はそれほど古い時代ではありません。きっかけとしてよく知られているのが、1946年に埼玉県蕨市で開かれた「青年祭」です。戦後の混乱の中で、若者を励まし、未来への希望を持ってもらう目的があったと言われています。

この流れが全国に広がり、1948年には「成人の日」が祝日として定められました。ここで大きいのは、成人を祝う場が家ごとではなく、公的に整えられたことです。自治体が主催することで、地域に住む同世代が一堂に会し、同じ節目を共有できるようになりました。

たとえば、進学で地元を離れた人が1月に帰省し、中学校時代の友人と久しぶりに再会することがあります。普段は東京や大阪で暮らしていても、成人式の日だけは地元のホールに集まり、「自分はこの町で育った」という感覚を思い出す人も多いようです。こうした再会の場としての役割も、自治体主催ならではです。

なぜ日本では自治体が成人式を開くのか

海外にも大人になる節目を祝う文化はありますが、日本の成人式が特徴的なのは、市区町村が中心になって式典を行う点です。これにはいくつか理由があります。

地域社会とのつながりを確認できる

成人すると、選挙権や契約など、社会との関わりが一段と増えます。自治体が式を開くのは、「あなたはこの地域の一員です」と示す意味もあると考えられています。市長のあいさつや記念品の配布があるのも、その象徴です。

同世代が同じ節目を共有できる

個別のお祝いだけでは味わいにくいのが、同級生どうしの一体感です。会場の前で「久しぶり!」と声が上がり、写真を撮る列ができ、式の後には同窓会へ向かう人もいます。成人式は、人生の節目を個人の記念日から社会的な記憶へ広げる装置とも言えます。

実際、小学校以来会っていなかった友人と再会したり、中学時代の恩師に会って近況を報告したりすることは、成人式ならではの場面です。こうした時間が、その後の人間関係をつなぎ直すきっかけになることもあります。

成人年齢が18歳になっても、式が20歳中心の理由

2022年に民法改正で成人年齢は18歳になりました。すると当然、「成人式も18歳でやるべきでは」と感じる人が出てきます。ところが、実際には多くの自治体が20歳前後で式を続けており、名称を「二十歳の集い」などに変える対応を取っています。

その理由としては、18歳は受験や就職活動の時期と重なりやすく、参加が難しいことが挙げられます。高校3年生の1月は、大学入学共通テストの直前という人も少なくありません。地方から都市部の大学を受ける受験生にとっては、地元の式に出る余裕がない場合もあります。

また、現実の生活感覚としても、18歳より20歳のほうが「大人になった」という実感を持ちやすい面があります。進学して一人暮らしを始めたり、働き始めて自分で収入を得たりする人が増えるからです。さらに飲酒や喫煙は現在も20歳からであり、社会の中の区切りが完全に18歳へ移ったわけではありません。

たとえば、18歳では制服姿のまま受験会場に向かっていた人が、20歳になる頃にはスーツでアルバイト先に通い、住民票の手続きや銀行口座の管理を自分でこなしていることがあります。こうした変化を考えると、式典を20歳で行う地域が多いのも自然です。

海外の成人儀礼と比べると、日本の成人式の特徴が見える

成人を祝う文化自体は日本だけのものではありません。たとえば、ラテンアメリカには15歳の少女を祝うキンセアニェーラがあり、ユダヤ文化には宗教的な節目としてバル・ミツワーバット・ミツワーがあります。アメリカでは高校の卒業前後に行われるプロムが、若者にとって重要な通過点として語られることもあります。

ただし、日本の成人式のように、自治体が広い範囲の若者を集めて公的に祝う形式は比較的珍しいとされています。海外では家族や宗教共同体が中心になることが多く、日本では行政と地域社会が前面に出る点に違いがあります。

この違いは、日本が個人の成長を「家の出来事」だけで終わらせず、地域の出来事としても扱ってきたことを示しているのかもしれません。晴れ着で集まる光景が毎年ニュースになるのも、社会全体がその節目を共有しているからでしょう。

成人式は今も続く、日本らしい「節目の文化」

成人式は、単に華やかな衣装を楽しむ日ではありません。古代の成人儀礼を背景に持ち、戦後の社会再建の中で現在の形になり、地域社会が若者を送り出す場として続いてきました。

もちろん、参加するかどうか、振袖を着るかスーツにするか、式典をどう感じるかは人それぞれです。それでも、家族が朝早くから着付けを手伝い、会場前で旧友と笑い合い、式の後に恩師へ「ありがとうございました」と伝える――そんな一日の積み重ねが、成人式を単なる行事以上のものにしています。

なぜ日本では成人式があるのか。その答えは、大人になる瞬間を、個人ではなく社会みんなで見届ける文化があるからです。だからこそ、時代に合わせて名前や年齢の運用が変わっても、この行事そのものは今後も形を変えながら受け継がれていくと考えられています。

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